歪度 — 分布の非対称性(統計検定2級 S1.1)
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補足資料の解説記事
平均と標準偏差が同じでも、分布が左右どちらに裾を引いているかは違い得ます。その非対称の向きと強さを1つの数で表すのが歪度(わいど)です。
定義
$$\text{歪度}=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^n\left(\frac{x_i-\bar{x}}{s}\right)^3\qquad(s\text{ は } n \text{ で割った標準偏差})$$ 正:右に裾が長い 0:対称(の目安) 負:左に裾が長い
$$\text{歪度}=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^n\left(\frac{x_i-\bar{x}}{s}\right)^3\qquad(s\text{ は } n \text{ で割った標準偏差})$$ 正:右に裾が長い 0:対称(の目安) 負:左に裾が長い
なぜ3乗なのか
3乗は符号を残したまま、平均から遠い値を極端に大きく効かせます。右側に遠く離れた値があると、その正の3乗が他を圧倒して歪度は正になります。標準偏差で割ってから3乗するので、単位や尺度に依存しない無次元量です。
3乗は符号を残したまま、平均から遠い値を極端に大きく効かせます。右側に遠く離れた値があると、その正の3乗が他を圧倒して歪度は正になります。標準偏差で割ってから3乗するので、単位や尺度に依存しない無次元量です。
数値例:1, 2, 3, 10
- 平均 4、偏差 −3, −2, −1, 6。
- 分散 $(9+4+1+36)/4=12.5$、$s=\sqrt{12.5}\approx3.54$。
- 偏差の3乗の平均 $(-27-8-1+216)/4=45$。
- 歪度 $=45/12.5^{3/2}\approx45/44.19\approx1.02$(正 → 右に裾が長い)。
| 歪度 | 形 | 代表値の目安 | 例 |
|---|---|---|---|
| 正 | 右に裾が長い | 最頻値 < 中央値 < 平均値 | 所得、指数分布(歪度 2)、自由度の小さい χ² 分布 |
| 0 | 左右対称 | 3つがほぼ一致 | 正規分布、t 分布、一様分布 |
| 負 | 左に裾が長い | 平均値 < 中央値 < 最頻値 | 満点付近に集まる易しい試験の得点 |
簡便な目安:ピアソンの歪度係数 $3(\bar{x}-\text{中央値})/s$ も符号の向きは同じ考え方です。上の例では中央値 2.5 なので $3\times(4-2.5)/3.54\approx1.27$(正)。平均が中央値より大きければ右に裾が長い、という直感をそのまま数にしたものです。
変換に対する性質:$y=a+bx$ で $b\gt0$ なら歪度は不変、$b\lt0$(符号反転)なら歪度の符号が逆になります。単位を変えても値は同じです。
ひっかけ
- 「右に歪む」は山の頂上が右にあるのではなく、裾が右に長いこと。山自体は左寄りに見える。
- 歪度 0 でも左右対称とは限らない(3乗の和が偶然打ち消し合う非対称分布がある)。対称なら歪度 0 は言える。
- 定義式の分母に標本の不偏標準偏差を使う流儀や補正係数をつける流儀もあり、値は少し変わるが符号の意味は同じ。
コツ:箱ひげ図なら「中央値が箱の左寄り・右ひげが長い」→ 正の歪度。ヒストグラムなら長い裾の側がそのまま歪度の符号(右なら正)と覚えます。
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