2標本の検定 — まず「対応」の有無を判定する(統計検定2級 8.5)

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第8章 仮説検定の解説記事

2つのグループを比べる検定では、式を選ぶ前に「データに対応があるか」を判定するのが最初の分かれ道です。同じ人の前後や、ペアにした組の比較なら対応あり、別々の人の集団なら対応なしです。

主な公式
対応あり:差 $d_i=x_i-y_i$ を1標本とみて $T=\dfrac{\bar{d}}{s_d/\sqrt{n}}\sim t(n-1)$
対応なし・等分散:$s_p^2=\dfrac{(m-1)s_1^2+(n-1)s_2^2}{m+n-2}$、$T=\dfrac{\bar{x}-\bar{y}}{s_p\sqrt{1/m+1/n}}\sim t(m+n-2)$
比率の差:$\hat{p}=\dfrac{x_1+x_2}{m+n}$、$Z=\dfrac{\hat{p}_1-\hat{p}_2}{\sqrt{\hat{p}(1-\hat{p})(1/m+1/n)}}\approx N(0,1)$
等分散性:$F=s_1^2/s_2^2\sim F(m-1,\,n-1)$
なぜ対応ありは差をとるのか
同じ人の前後では、個人差(もともと高い人は後も高い)が両方の測定に共通して入ります。差をとると個人差が打ち消され、ばらつきが小さくなって検出力が上がります。対応ありのデータを対応なしとして扱うと、この利点を捨てることになります。
状況検定自由度
同じ対象の前後・ペア対応のある t 検定$n-1$(ペア数−1)
独立2群・等分散を仮定プールした 2 標本 t 検定$m+n-2$
独立2群・等分散を仮定しないウェルチの t 検定近似式で求める
独立2群の比率比率の差の z 検定―
2群の分散が等しいかF 検定$(m-1,\ n-1)$

数値例1:対応のある t 検定

5人の前後差が 3, 1, 4, 2, 5。$\bar{d}=3$、$s_d^2=2.5$、$s_d/\sqrt{5}\approx0.707$、$t\approx4.24$。$t_{0.025}(4)=2.776$ より両側 5% で有意差あり。

数値例2:プールした t 検定と F 検定

$m=n=10$、$\bar{x}=52$、$\bar{y}=48$、$s_1^2=20$、$s_2^2=16$。まず $F=20/16=1.25$、両側 5% なら上側 2.5% 点 $F_{0.025}(9,9)=4.03$ と比べて等分散は棄却されない。$s_p^2=(9\times20+9\times16)/18=18$、標準誤差 $\sqrt{18\times(1/10+1/10)}\approx1.897$、$t\approx2.11$。$t_{0.025}(18)=2.101$ をわずかに超えるので両側 5% で棄却します。

数値例3:比率の差

A群 200人中 60人(0.30)、B群 200人中 45人(0.225)。プールした $\hat{p}=105/400=0.2625$、標準誤差 $\sqrt{0.2625\times0.7375\times(2/200)}\approx0.0440$、$z\approx1.70$。両側 p 値 $\approx2\times0.0446=0.089$ で 5% では有意でありません。

ひっかけ
得点のコツ
「対応あり?」→「比べるのは平均・比率・分散のどれ?」→「等分散を仮定する?」の順に分岐すれば、ほとんどの2標本問題は機械的に選べます。自由度は、対応ありなら $n-1$、プールした t なら $m+n-2$ と即答できるようにしておきましょう。

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