1標本の検定(統計検定2級 8.4)

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第8章 仮説検定の解説記事

1つの母集団から取った標本を使って、母平均・母比率・母分散が基準値と異なるかを調べるのが1標本の検定です。どの母数を調べるのか、母分散が既知か未知かで、使う統計量と分布が決まります。

3つの基本公式($H_0$ のもとでの分布)
母平均($\sigma$ 既知):$Z=\dfrac{\bar{X}-\mu_0}{\sigma/\sqrt{n}}\sim N(0,1)$
母平均($\sigma$ 未知):$T=\dfrac{\bar{X}-\mu_0}{s/\sqrt{n}}\sim t(n-1)$
母比率($n$ 大):$Z=\dfrac{\hat{p}-p_0}{\sqrt{p_0(1-p_0)/n}}\approx N(0,1)$
母分散:$\chi^2=\dfrac{(n-1)s^2}{\sigma_0^2}\sim\chi^2(n-1)$
($s^2$ は $n-1$ で割る不偏分散)
なぜ σ 未知だと t 分布になるのか
$\sigma$ を標本から推定した $s$ で置き換えると、分母もばらつくぶん統計量の裾が正規分布より重くなります。この裾の重さを正確に表すのが自由度 $n-1$ の t 分布です。$n$ が大きいと $s$ が安定し、t 分布は標準正規分布に近づきます。
調べたいこと条件統計量・分布5%臨界値の例
母平均$\sigma$ 既知z/$N(0,1)$両側 1.96、片側 1.645
母平均$\sigma$ 未知t/$t(n-1)$$n=10$ 両側 2.262
母比率$np_0,\ n(1-p_0)$ が十分大z/$N(0,1)$(正規近似)両側 1.96
母分散正規母集団$\chi^2(n-1)$$n=10$ 上側 16.919

数値例1:母比率の検定

ある政策の賛成率が 50% と異なるかを調べる。$n=400$ 人中 220 人が賛成($\hat{p}=0.55$)。$H_0:p=0.5$、$H_1:p\neq0.5$。

$\sqrt{0.5\times0.5/400}=0.025$、$z=\dfrac{0.55-0.5}{0.025}=2.0$。両側 p 値 $=2\times0.0228=0.0456\lt0.05$ なので、5% 水準で「賛成率は 50% と異なる」といえます。

数値例2:母平均の t 検定(片側)

新しい製法で強度が上がったか。従来の平均 100、新製法 $n=16$ で $\bar{x}=103$、$s=6$。$H_1:\mu\gt100$ として $t=\dfrac{3}{6/4}=2.0$。$t_{0.05}(15)=1.753$ を超えるので 5% で棄却し、「強度は上がった」と判断します。

ひっかけ
得点のコツ
問題文から「何の母数か」「σは既知か」「片側か両側か」の3点に印をつけてから式を選びましょう。t 検定と信頼区間は同じ材料($\bar{x}$、$s$、$n$、$t$ 値)を使うので、「$\bar{x}\pm t_{0.025}(n-1)\,s/\sqrt{n}$ が $\mu_0$ を含むか」で両側検定の結論を確かめられます。

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