2種類の過誤と検出力(統計検定2級 8.3)

このページはプロモーション(広告)を含みます。

第8章 仮説検定の解説記事

検定はデータにもとづく判断なので、必ず誤りの可能性があります。誤り方には2種類あり、その確率を理解すると「どれくらい信頼できる検定か」「何人調べれば十分か」が考えられるようになります。

2種類の過誤と検出力
第1種の過誤:$H_0$ が正しいのに棄却する。確率 $\alpha$(有意水準)
第2種の過誤:$H_1$ が正しいのに $H_0$ を棄却しない。確率 $\beta$
検出力:$H_1$ が正しいときに正しく $H_0$ を棄却する確率 $=1-\beta$
$H_0$ を棄却しない$H_0$ を棄却する
真実は $H_0$正しい判断($1-\alpha$)第1種の過誤($\alpha$)
真実は $H_1$第2種の過誤($\beta$)正しい判断=検出力($1-\beta$)
なぜ $\alpha$ と $\beta$ は同時に小さくできないのか
$n$ を固定したまま $\alpha$ を小さくすると棄却域が狭くなり、$H_1$ が正しいときにも棄却しにくくなって $\beta$ が大きくなります。両方を小さくするには、標準誤差 $\sigma/\sqrt{n}$ を小さくする、つまりサンプルサイズを増やすしかありません。

検出力を左右する要因

要因変化検出力
サンプルサイズ $n$大きくする上がる
有意水準 $\alpha$大きくする上がる(ただし第1種の過誤も増える)
真の値と $\mu_0$ の差大きい上がる
母標準偏差 $\sigma$大きい下がる
両側か片側か正しい向きの片側にする上がる

数値例:検出力の計算

$\sigma=10$、$n=25$ で $H_0:\mu=50$、$H_1:\mu\gt50$ を有意水準 5% で検定する。標準誤差は $10/5=2$。

  1. 棄却域を $\bar{x}$ の単位で求める:$\bar{x}\ge 50+1.645\times2=53.29$
  2. 真の値のもとで確率を計算:真の $\mu=55$ なら $\bar{X}\sim N(55,\,2^2)$。$P(\bar{X}\ge53.29)=P\!\left(Z\ge\dfrac{53.29-55}{2}\right)=P(Z\ge-0.855)$
  3. $\beta=P(Z\lt-0.855)=Q(0.855)\approx0.196$、検出力 $\approx0.80$

棄却域は $H_0$ の分布で決め、その棄却域に入る確率は $H_1$ の(真の)分布で計算する、という2段階がポイントです。

ひっかけ
得点のコツ
2つの正規分布の山($H_0$ の山と $H_1$ の山)を横に並べ、棄却域の境界線を1本引いた図を頭に描きましょう。境界の右側で $H_0$ の山の面積が $\alpha$、境界の左側で $H_1$ の山の面積が $\beta$ です。この図があれば「$n$ を増やすと山が細くなって $\beta$ が減る」などの定性問題もすぐ判断できます。

統計検定2級 合格ナビ:統計検定2級の問題集アプリ。本番と同じ5択・数値表と電卓で解くオリジナル問題173問と、35問90分の模擬試験。解説記事・公式集・数値表と第1・2章の問題は登録なしで無料。全問は1,480円の買い切り。

アプリを無料で開く有料版と無料版の違い