2標本の区間推定(差の推定)(統計検定2級 7.6)
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第7章 推定の解説記事
「新旧2つの方法で平均はどれだけ違うか」「2つの地域で支持率に差はあるか」のように、2つの母集団の差を推定する方法です。差の推定量の標準誤差さえ作れれば、あとは1標本のときと同じ「推定値 ± パーセント点 × SE」です。
・平均の差・$\sigma_1,\sigma_2$ 既知:$(\bar x_1-\bar x_2)\pm1.96\sqrt{\dfrac{\sigma_1^2}{n_1}+\dfrac{\sigma_2^2}{n_2}}$
・平均の差・等分散を仮定(未知):$(\bar x_1-\bar x_2)\pm t_{0.025}(n_1+n_2-2)\sqrt{s_p^2\left(\dfrac1{n_1}+\dfrac1{n_2}\right)}$
プールした分散 $s_p^2=\dfrac{(n_1-1)s_1^2+(n_2-1)s_2^2}{n_1+n_2-2}$
・比率の差:$(\hat p_1-\hat p_2)\pm1.96\sqrt{\dfrac{\hat p_1(1-\hat p_1)}{n_1}+\dfrac{\hat p_2(1-\hat p_2)}{n_2}}$
独立な2つの確率変数では $V[X-Y]=V[X]+V[Y]$。引き算でも分散は足し算です。差をとると両方の揺れが重なるので、ばらつきはむしろ大きくなります。等分散を仮定できるときは、2群のデータをまとめて1つの $\sigma^2$ を推定したほうが精度が上がるので、偏差平方和を合算してプールします(自由度はそれぞれの $n-1$ の和)。
| 状況 | 使う分布 | 注意点 |
|---|---|---|
| 平均の差・分散既知 | $N(0,1)$ | 分散をそのまま足す |
| 平均の差・等分散仮定 | $t(n_1+n_2-2)$ | $s_p^2$ でプール |
| 平均の差・等分散を仮定しない | ウェルチの近似 $t$ | 自由度は近似式で求める |
| 対応のあるデータ(前後比較など) | $t(n-1)$ | 差 $d_i$ を1標本として扱う |
| 比率の差・信頼区間 | $N(0,1)$ | 各群の $\hat p$ を別々に使う |
| 比率の差・検定($H_0:p_1=p_2$) | $N(0,1)$ | 併合比率 $\hat p$ で SE を作る |
数値例1:平均の差(等分散)
$n_1=8,\ \bar x_1=15.0,\ s_1^2=4.0$;$n_2=10,\ \bar x_2=12.0,\ s_2^2=5.0$。
$s_p^2=(7\times4.0+9\times5.0)/16=73/16\approx4.563$。SE $=\sqrt{4.5625\times(1/8+1/10)}\approx1.013$。$t_{0.025}(16)=2.120$ より誤差幅 $\approx2.148$。95%信頼区間は $3.0\pm2.148$ で $[0.85,\ 5.15]$。0を含まないので、両側5%の2標本 $t$ 検定でも「差あり」となります。
数値例2:比率の差
A群 $60/200=0.30$、B群 $50/250=0.20$。SE $=\sqrt{0.21/200+0.16/250}=\sqrt{0.00169}=0.0411$。95%信頼区間は $0.10\pm0.081$ で $[0.019,\ 0.181]$。
検定では併合比率 $\hat p=110/450\approx0.244$ を使い、SE $=\sqrt{0.244\times0.756\times(1/200+1/250)}\approx0.0408$、$z=0.10/0.0408\approx2.45\gt1.96$ で有意です。
・差の分散を $\sigma_1^2/n_1-\sigma_2^2/n_2$ と引いてしまう。必ず足す。
・プールするとき $s_1^2,s_2^2$ を単純平均する。$n$ が違えば自由度で重みづけが必要。
・同じ人の前後比較を独立2標本として扱う。対応があれば差をとって1標本の $t$。
・比率の差で、信頼区間と検定の SE を混同する(区間は別々、検定は併合)。
最初に「独立か対応ありか」「平均か比率か」「区間か検定か」の3点を判定すれば、上の表のどの行かが決まります。信頼区間が0を含むかどうかで、両側検定の結論も同時に分かります。
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