母分散の区間推定(統計検定2級 7.5)

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第7章 推定の解説記事

製品の品質のばらつきや測定の精度など、「平均」ではなく「ばらつき」そのものを推定したい場面があります。正規母集団なら、不偏分散と $\chi^2$ 分布を使って母分散 $\sigma^2$ の信頼区間が作れます。

公式(正規母集団、信頼係数 $1-\alpha$)
$$\frac{(n-1)S^2}{\sigma^2}\sim\chi^2(n-1)$$ $$\frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{\alpha/2}(n-1)}\ \le\ \sigma^2\ \le\ \frac{(n-1)s^2}{\chi^2_{1-\alpha/2}(n-1)}$$ $(n-1)s^2$ は偏差平方和 $\sum(x_i-\bar x)^2$ そのもの。$\chi^2_{a}$ は上側確率 $a$ の点。
なぜ上側の点が下限になるのか
$P\left(\chi^2_{1-\alpha/2}\le\frac{(n-1)S^2}{\sigma^2}\le\chi^2_{\alpha/2}\right)=1-\alpha$ を $\sigma^2$ について解くと、$\sigma^2$ は分母にあるので不等号の向きが逆転し、大きいほうの $\chi^2$ の点で割ったものが下限になります。また $\chi^2$ 分布は右に歪んでいるため、区間は $s^2$ を中心に左右対称になりません。

数値例

$n=10$、不偏分散 $s^2=4.0$ とします。偏差平方和は $(n-1)s^2=36$。自由度9の $\chi^2$ 表から $\chi^2_{0.025}(9)=19.023$、$\chi^2_{0.975}(9)=2.700$。

計算値
下限$36/19.023$$\approx1.89$
上限$36/2.700$$\approx13.33$
母標準偏差の区間それぞれの平方根$[1.38,\ 3.65]$

点推定値 $4.0$ に対して下へは約2.1、上へは約9.3と、上側に長い区間になっています。

手順のまとめ

  1. 偏差平方和 $\sum(x_i-\bar x)^2$ を求める(不偏分散なら $\times(n-1)$、$n$ 割りの標本分散なら $\times n$)。
  2. 自由度 $n-1$ で、上側 $\alpha/2$ と $1-\alpha/2$ の2つの点を $\chi^2$ 表から引く。
  3. 偏差平方和を大きい点で割ると下限、小さい点で割ると上限。
  4. 標準偏差を問われたら両端の平方根をとる。
ひっかけ
・大きい点と小さい点を割る側で取り違え、下限>上限になる(答えの見直しで気づける)。
・「$s^2\pm$ 何か」という対称な形にしてしまう。
・自由度を $n$ にする。正しくは $n-1$。
・この区間は正規母集団の仮定に強く依存し、平均の区間推定より外れ値や分布の歪みの影響を受けやすい。
得点のコツ
問題文が偏差平方和・不偏分散・標本分散のどれを与えているかを最初に確認し、「分子は偏差平方和」と統一してしまうのが一番安全です。2つの母分散を比べたいときは $\chi^2$ ではなく $F$ 分布を使います(「3つの標本分布」の記事を参照)。

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