母比率の区間推定と必要サンプルサイズ(統計検定2級 7.4)

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第7章 推定の解説記事

支持率や不良率のような「割合」を標本から推定し、その精度を幅で示す方法です。標本比率は0/1データの平均なので、母平均の区間推定と同じ考え方がそのまま使えます。

公式($n$ が大きいとき、信頼係数 $1-\alpha$)
$$\hat p\ \pm\ z_{\alpha/2}\sqrt{\frac{\hat p(1-\hat p)}{n}}$$ 必要な標本の大きさ(誤差幅を $E$ 以下に): $$n\ \ge\ \left(\frac{z_{\alpha/2}}{E}\right)^2 p(1-p)\quad(\,p\ \text{の見当がなければ}\ p=0.5\,)$$
なぜこの形なのか
成功を1、失敗を0とすると、1個のデータの分散は $p(1-p)$。平均 $\hat p$ の分散はその $1/n$ で、中心極限定理により $\hat p$ は近似的に正規分布に従います。区間推定では真の $p$ が未知なので、標準誤差の中の $p$ を $\hat p$ で代用します。
$p(1-p)$ は $p=0.5$ で最大の $0.25$ をとるので、$p=0.5$ で計算した $n$ はどんな $p$ でも十分な大きさ(最も安全側)になります。

数値例:信頼区間

$n=400$ 人中120人が「賛成」。$\hat p=0.30$、SE $=\sqrt{0.30\times0.70/400}=\sqrt{0.000525}\approx0.0229$。誤差幅 $1.96\times0.0229\approx0.045$。95%信頼区間は $[0.255,\ 0.345]$。

数値例:必要サンプルサイズ

条件(95%、誤差幅 $E$)計算必要な $n$
$p$ の見当なし、$E=0.03$$(1.96/0.03)^2\times0.25\approx1067.1$1068
$p\approx0.2$、$E=0.03$$(1.96/0.03)^2\times0.16\approx682.95$683
$p$ の見当なし、$E=0.015$$E$ が半分 → 4倍約4268.4 → 4269

信頼区間と検定での標準誤差の違い

場面標準誤差に使う $p$
母比率の信頼区間標本比率 $\hat p$
母比率の検定($H_0:p=p_0$)帰無仮説の値 $p_0$
2群の比率の差の信頼区間各群の $\hat p_1,\hat p_2$ を別々に
2群の比率の差の検定2群を併合した $\hat p$

2群の差については「2標本の区間推定(差の推定)」の記事で詳しく扱います。

ひっかけ
・$\sqrt{\ }$ の中に $n$ を入れ忘れる、または $\sqrt n$ で割るのを忘れる。
・必要な $n$ は切り上げ。1067.1なら1068。
・誤差幅を半分にするには $n$ は4倍。2倍ではありません。
・正規近似の目安($n\hat p$ と $n(1-\hat p)$ がともに5程度以上)を満たさないほど小さい標本では、この公式は粗くなります。
・「母集団が大きいほど多くの標本が必要」は誤り。母集団が十分大きければ必要な $n$ はほぼ母集団の大きさに依存しません。
得点のコツ
$1.96^2\approx3.84$、$0.5\times0.5=0.25$ を覚えておくと、「$p$ 不明・95%」の必要数は $0.96/E^2$ で暗算できます($E=0.03$ なら $0.9604/0.0009\approx1067.1$)。誤差幅が「±3ポイント」と書かれていたら $E=0.03$ です。

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