母平均の区間推定(統計検定2級 7.3)

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第7章 推定の解説記事

母平均の信頼区間は「標本平均 ± パーセント点 × 標準誤差」です。迷うのは、パーセント点を正規分布から取るか $t$ 分布から取るかの一点だけで、それは母分散が既知かどうかで決まります。

公式(信頼係数 $1-\alpha$)
・$\sigma$ 既知:$\displaystyle \bar x\pm z_{\alpha/2}\frac{\sigma}{\sqrt n}$
・$\sigma$ 未知(正規母集団):$\displaystyle \bar x\pm t_{\alpha/2}(n-1)\frac{s}{\sqrt n}$($s$ は不偏分散の平方根)
・$n$ が大きい:$t$ の代わりに $z$ でもほぼ同じ
主なパーセント点:$z_{0.05}=1.645$(90%)、$z_{0.025}=1.96$(95%)、$z_{0.005}=2.576$(99%)
なぜ $t$ 分布を使うのか
$\sigma$ を $s$ で置き換えると、分母の $s$ も標本ごとに揺れます。その揺れの分だけ $\frac{\bar X-\mu}{s/\sqrt n}$ は正規分布より裾が広くなり、それを正確に表すのが自由度 $n-1$ の $t$ 分布です。$n$ が大きいと $s$ がほぼ $\sigma$ に落ち着くので、$t$ と $z$ の差は消えていきます。
条件パーセント点標準誤差
正規母集団・$\sigma$ 既知$z_{\alpha/2}$$\sigma/\sqrt n$
正規母集団・$\sigma$ 未知$t_{\alpha/2}(n-1)$$s/\sqrt n$
母集団の形は不明・$n$ 大$z_{\alpha/2}$(近似)$s/\sqrt n$
2群の差(等分散)$t_{\alpha/2}(n_1+n_2-2)$「2標本の区間推定」の記事
単回帰の傾き$t_{\alpha/2}(n-2)$出力表の「標準誤差」

数値例(σ未知)

$n=10,\ \bar x=24.0,\ s=3.0$。SE $=3.0/\sqrt{10}\approx0.949$。$t_{0.025}(9)=2.262$ より、誤差幅 $2.262\times0.949\approx2.15$。95%信頼区間は $[21.85,\ 26.15]$。もし誤って $1.96$ を使うと幅が狭くなりすぎます。

必要な標本の大きさ

$\sigma$ 既知で誤差幅(片側の幅)を $E$ 以下にしたいなら $z_{\alpha/2}\sigma/\sqrt n\le E$ より $$n\ \ge\ \left(\frac{z_{\alpha/2}\,\sigma}{E}\right)^2$$ 例:$\sigma=10,\ E=2$、95%なら $(1.96\times10/2)^2=96.04$ → 切り上げて97。

検定・回帰とのつながり

95%信頼区間が値 $\mu_0$ を含まないことと、両側5%の $t$ 検定で $H_0:\mu=\mu_0$ が棄却されることは同じです。回帰係数の信頼区間も「推定値 $\pm\ t_{0.025}(n-2)\times$ 標準誤差」と同じ形で、出力表の数値をそのまま使えます。

ひっかけ
・自由度は $n$ ではなく $n-1$。$t$ 表の行を1つずらすミスが多い。
・$s$ が「標本分散($n$ 割り)」で与えられていたら、不偏分散に直してから使う。
・95%の両側区間では上側 $2.5\%$ 点($\alpha/2$)を引く。$t_{0.05}$ を使うのは90%区間。
・必要な $n$ は小数を切り上げ(四捨五入ではない)。
得点のコツ
最初に「$\sigma$ は与えられているか、$s$ しかないか」に丸をつけ、次に信頼係数から $\alpha/2$ を決めてパーセント点を引く、の順で解きます。誤差幅と区間の幅(誤差幅の2倍)のどちらを問われているかも確認しましょう。

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