標本平均の分布(統計検定2級 6.2)
このページはプロモーション(広告)を含みます。
第6章 標本分布の解説記事
標本平均 $\bar X$ は母平均を推し量る最も基本的な統計量です。その平均・分散・分布の形が分かれば、確率計算、標準誤差、必要な標本の大きさ、信頼区間まで一続きで解けます。
公式
母平均 $\mu$、母分散 $\sigma^2$ の母集団から大きさ $n$ の無作為標本を取ると $$E[\bar X]=\mu,\qquad V[\bar X]=\frac{\sigma^2}{n},\qquad \mathrm{SE}=\frac{\sigma}{\sqrt n}$$ ・母集団が正規分布なら $\bar X\sim N(\mu,\ \sigma^2/n)$(厳密)
・そうでなくても $n$ が大きければ中心極限定理により近似的に同じ正規分布
・標本比率 $\hat p$ も0/1データの平均なので $E[\hat p]=p,\ \mathrm{SE}=\sqrt{p(1-p)/n}$
母平均 $\mu$、母分散 $\sigma^2$ の母集団から大きさ $n$ の無作為標本を取ると $$E[\bar X]=\mu,\qquad V[\bar X]=\frac{\sigma^2}{n},\qquad \mathrm{SE}=\frac{\sigma}{\sqrt n}$$ ・母集団が正規分布なら $\bar X\sim N(\mu,\ \sigma^2/n)$(厳密)
・そうでなくても $n$ が大きければ中心極限定理により近似的に同じ正規分布
・標本比率 $\hat p$ も0/1データの平均なので $E[\hat p]=p,\ \mathrm{SE}=\sqrt{p(1-p)/n}$
なぜ $n$ で割る・$\sqrt n$ で割るのか
独立な $X_i$ の和の分散は分散の和なので $V[\sum X_i]=n\sigma^2$。平均はそれを $n$ で割るので分散は $1/n^2$ 倍になり、$n\sigma^2/n^2=\sigma^2/n$。標準偏差に戻すと $\sqrt n$ で割る形になります。個々の値の上振れ・下振れが打ち消し合うぶん、平均は母平均の近くに集まります。
独立な $X_i$ の和の分散は分散の和なので $V[\sum X_i]=n\sigma^2$。平均はそれを $n$ で割るので分散は $1/n^2$ 倍になり、$n\sigma^2/n^2=\sigma^2/n$。標準偏差に戻すと $\sqrt n$ で割る形になります。個々の値の上振れ・下振れが打ち消し合うぶん、平均は母平均の近くに集まります。
どの分布で計算するか
| 状況 | 標準化した量 | 従う分布 |
|---|---|---|
| 正規母集団・$\sigma$ 既知 | $Z=\dfrac{\bar X-\mu}{\sigma/\sqrt n}$ | $N(0,1)$(厳密) |
| 母集団の形は不明・$n$ 大 | 同上($\sigma$ 不明なら $s$ で代用) | $N(0,1)$(近似) |
| 正規母集団・$\sigma$ 未知・$n$ 小 | $T=\dfrac{\bar X-\mu}{S/\sqrt n}$ | $t(n-1)$ |
| 比率 | $\dfrac{\hat p-p}{\sqrt{p(1-p)/n}}$ | $N(0,1)$(近似) |
数値例
$\mu=50,\ \sigma=10$ の正規母集団から $n=25$ を取ると $\mathrm{SE}=10/\sqrt{25}=2$。$P(\bar X\ge53)=P(Z\ge(53-50)/2)=P(Z\ge1.5)=0.0668$。個々の値が53以上になる確率 $P(Z\ge0.3)=0.3821$ と比べると、平均はずっと外れにくいことが分かります。
必要な標本の大きさ:標準誤差を $d$ 以下にしたければ $\sigma/\sqrt n\le d$ より $n\ge\sigma^2/d^2$。上の例で SE を1以下にするには $n\ge100$。SE を半分にするには $n$ を4倍にする必要があります。
標本誤差と非標本誤差
$\bar x$ と $\mu$ のずれのうち、無作為抽出の偶然によるものが標本誤差で、$n$ を増やせば小さくなり、標準誤差で大きさを評価できます。一方、無回答、回答の偏り、測定ミス、調査対象の枠のずれなどによる非標本誤差は、$n$ を増やしても減らず、全数調査でも生じます。
ひっかけ
・$V[\bar X]=\sigma^2/n$ を標準偏差だと思い込み、$\sqrt{\ }$ を取り忘れる。
・「$n$ を2倍にすれば精度(SE)が半分」は誤り。SE は $1/\sqrt2\approx0.71$ 倍。
・「標本を大きくすれば偏りも消える」は誤り。消えるのは標本誤差だけ。
・中心極限定理で正規に近づくのは標本平均の分布で、データそのものの分布ではありません。
・$V[\bar X]=\sigma^2/n$ を標準偏差だと思い込み、$\sqrt{\ }$ を取り忘れる。
・「$n$ を2倍にすれば精度(SE)が半分」は誤り。SE は $1/\sqrt2\approx0.71$ 倍。
・「標本を大きくすれば偏りも消える」は誤り。消えるのは標本誤差だけ。
・中心極限定理で正規に近づくのは標本平均の分布で、データそのものの分布ではありません。
得点のコツ
確率計算は「①平均 $\mu$ ②SE $=\sigma/\sqrt n$ ③ $z=(\text{値}-\mu)/\mathrm{SE}$ ④正規分布表」の4手順に固定すると速く確実です。合計 $\sum X_i$ を問われたら平均 $n\mu$、標準偏差 $\sqrt n\,\sigma$ を使います。
確率計算は「①平均 $\mu$ ②SE $=\sigma/\sqrt n$ ③ $z=(\text{値}-\mu)/\mathrm{SE}$ ④正規分布表」の4手順に固定すると速く確実です。合計 $\sum X_i$ を問われたら平均 $n\mu$、標準偏差 $\sqrt n\,\sigma$ を使います。
統計検定2級 合格ナビ:統計検定2級の問題集アプリ。本番と同じ5択・数値表と電卓で解くオリジナル問題173問と、35問90分の模擬試験。解説記事・公式集・数値表と第1・2章の問題は登録なしで無料。全問は1,480円の買い切り。
アプリを無料で開く有料版と無料版の違い