大数の法則と中心極限定理(統計検定2級 6.3)

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第6章 標本分布の解説記事

標本を大きくすると標本平均はどうなるのか。その答えが2つの定理です。大数の法則は「どこに集まるか(母平均へ)」を、中心極限定理は「どんな形で集まるか(正規分布の形で)」を教えてくれます。

2つの定理
大数の法則:$X_1,X_2,\dots$ が独立に同じ分布(平均 $\mu$)に従うとき、$n\to\infty$ で $\bar X_n$ は $\mu$ に確率的に近づく。
中心極限定理:さらに分散 $\sigma^2$ が有限なら、母集団の分布の形によらず $$\frac{\bar X_n-\mu}{\sigma/\sqrt n}\ \text{の分布は}\ n\to\infty\ \text{で}\ N(0,1)\ \text{に近づく}$$ 和で書けば $\sum X_i \approx N(n\mu,\ n\sigma^2)$。
なぜ正規分布になるのか(直感)
多くの独立な小さな揺れを足し合わせると、極端な値は打ち消し合い、中央付近の組み合わせの数が圧倒的に多くなります。サイコロ1個の目は一様分布ですが、2個の和はすでに三角形、さらに個数を増やすと釣鐘型に近づきます。
大数の法則中心極限定理
主張$\bar X$ が $\mu$ に近づく$\bar X$ の分布が正規形に近づく
ばらつきの情報含まないSE $=\sigma/\sqrt n$ で評価できる
試験での使い道相対頻度 → 確率の根拠近似的な確率計算・区間推定

数値例1:サイコロ100回の目の合計

1回の目は $\mu=3.5$、$\sigma^2=35/12$。合計の平均は $350$、分散は $100\times35/12\approx291.7$、標準偏差は約 $17.08$。$P(\text{合計}\ge380)\approx P(Z\ge30/17.08)=P(Z\ge1.76)=0.0392$。

数値例2:標本比率

母比率 $p=0.4$ の母集団から $n=150$ を取ると、$\hat p$ は近似的に $N(0.4,\ 0.4\times0.6/150)$、SE $=\sqrt{0.0016}=0.04$。$P(\hat p\ge0.46)\approx P(Z\ge1.5)=0.0668$。二項分布 $B(n,p)$ の正規近似 $N(np,\ np(1-p))$ も同じ考え方で、目安として $np$ と $n(1-p)$ がともに5程度以上あれば使えます。

ひっかけ
・「$n$ を大きくするとデータ自体が正規分布になる」は誤り。正規に近づくのは平均(和)の分布です。
・大数の法則は「表が続いたから次は裏が出やすい」という意味ではありません。各回は独立で、過去の偏りは修正されるのではなく、多数の試行の中で薄まるだけです。
・母集団が正規なら $n$ が小さくても $\bar X$ は厳密に正規。中心極限定理が必要なのは母集団が正規でないときです。
・母集団の歪みが強いほど、正規近似に必要な $n$ は大きくなります。
得点のコツ
「独立・同一分布・和(平均)・$n$ が大きい」の4語がそろったら中心極限定理の出番です。和なら $(n\mu,\ \sqrt n\sigma)$、平均なら $(\mu,\ \sigma/\sqrt n)$ と、まず平均と標準偏差をメモしてから標準化しましょう。

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