試験に出る6大分布 —「ストーリー」で覚える(統計検定2級 5.4)

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第5章 確率変数と確率分布の解説記事

確率分布は公式の暗記より、「どんな状況で現れる分布か」というストーリーで覚えるほうが確実です。問題文の状況からどの分布かを見抜ければ、確率関数・期待値・分散が芋づる式に決まります。

6つの分布 離散型は二項・ポアソン・幾何、連続型は一様・指数・正規。下の表の「ストーリー」列から分布名を特定し、残りの列(確率関数・期待値・分散)を引き出せるようにしておきます。
分布ストーリー確率関数・密度期待値分散
二項 $B(n,p)$成功確率 $p$ の独立な試行を $n$ 回、成功の回数${}_n\mathrm{C}_x p^x(1-p)^{n-x}$$np$$np(1-p)$
ポアソン $Po(\lambda)$一定時間・一定範囲で、まれな出来事が起こる回数$e^{-\lambda}\dfrac{\lambda^x}{x!}$$\lambda$$\lambda$
幾何 $Ge(p)$初めて成功するまでの試行回数($x=1,2,\dots$)$(1-p)^{x-1}p$$\dfrac1p$$\dfrac{1-p}{p^2}$
一様 $U(a,b)$区間 $[a,b]$ のどこも同じ起こりやすさ$\dfrac1{b-a}$$\dfrac{a+b}2$$\dfrac{(b-a)^2}{12}$
指数(率 $\lambda$)次の出来事までの待ち時間$\lambda e^{-\lambda x}$$\dfrac1\lambda$$\dfrac1{\lambda^2}$
正規 $N(\mu,\sigma^2)$多くの小さな要因が足し合わさった量釣鐘型$\mu$$\sigma^2$
分布どうしのつながり
・二項で $n$ が大きく $p$ が小さいとき、$\lambda=np$ のポアソンで近似できる(まれな出来事の回数)。
・二項で $n$ が大きいと正規分布で近似できる(「二項分布の正規近似」の記事)。
・ポアソン過程では、回数がポアソン分布、出来事の間隔が指数分布に従う。
・幾何分布と指数分布は、離散・連続版の「待ち時間」で、ともに無記憶性をもつ。
・非復元抽出で成功回数を数えると超幾何分布(「超幾何分布:設定と確率関数」の記事)になり、母集団が大きければ二項分布とほぼ同じ。

数値例

推定・検定とのつながり

データから母数を最尤推定すると、ポアソン分布では $\hat\lambda=\bar x$(標本平均)、二項分布では $\hat p=x/n$、指数分布では $\hat\lambda=1/\bar x$ となります。たとえば5日間の件数が 1, 3, 2, 0, 4 なら $\hat\lambda=10/5=2$ です。こうして母数を推定した分布にデータが合うかを $\chi^2$ 適合度検定で調べるときは、自由度を「階級数 − 1 − 推定した母数の数」とします。ポアソン分布(母数1個)で6階級なら自由度は $6-1-1=4$、正規分布($\mu,\sigma$ の2個)なら $6-1-2=3$ です。

ひっかけ 「$n$ 回中何回」なら二項、「回数の上限が決まっていない件数」ならポアソン、「何回目で初めて」なら幾何です。ポアソン分布は期待値と分散が等しい(標準偏差は $\sqrt\lambda$)ことを忘れて、$\lambda$ をそのまま標準偏差にしてしまうミスに注意。適合度検定で母数を推定したのに自由度から引き忘れるのも定番の誤りです。
コツ 問題文の単位が「1時間あたり」「1ページあたり」などで、聞かれている範囲と違う場合は、$\lambda$ を範囲に比例させて調整します(1時間に平均3件なら、2時間では $\lambda=6$)。

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