期待値と分散(統計検定2級 5.2)

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第5章 確率変数と確率分布の解説記事

期待値は分布の「中心」、分散はその「ばらつき」を1つの数にまとめたものです。試験では、定義から計算するよりも、変換や和に関する性質を使って手早く求める問題が大半を占めます。

性質(a, b は定数)
$$E[aX+b]=aE[X]+b,\qquad V(aX+b)=a^2V(X)$$$$E[X+Y]=E[X]+E[Y]\quad(\text{独立でなくても成立})$$$$V(X\pm Y)=V(X)+V(Y)\pm2\,\mathrm{Cov}(X,Y)$$独立なら $\mathrm{Cov}(X,Y)=0$ で $V(X\pm Y)=V(X)+V(Y)$
独立同分布の標本平均:$E[\bar X]=\mu,\ V(\bar X)=\sigma^2/n$
なぜ a² になり、b は消えるのか 全体を $b$ だけずらしても、平均からのずれは変わりません。一方、$a$ 倍するとずれも $a$ 倍になり、分散はずれの2乗なので $a^2$ 倍です。差 $X-Y$ の分散で $V(Y)$ が足されるのも、$V(-Y)=(-1)^2V(Y)=V(Y)$ だからです。

主な分布の期待値と分散

分布期待値分散
二項 $B(n,p)$$np$$np(1-p)$
ポアソン $Po(\lambda)$$\lambda$$\lambda$
幾何(初成功までの試行回数)$1/p$$(1-p)/p^2$
一様 $U(a,b)$$(a+b)/2$$(b-a)^2/12$
指数(平均 $1/\lambda$)$1/\lambda$$1/\lambda^2$
正規 $N(\mu,\sigma^2)$$\mu$$\sigma^2$

数値例

独立な正規変数の和は再び正規分布になり(再生性)、平均と分散は上の公式どおり足し合わせます。$X\sim N(50,6^2)$、$Y\sim N(40,8^2)$ が独立なら $X+Y\sim N(90,\,100)$、標準偏差は $10$ です。

ひっかけ
・標準偏差は足せません。上の例で $6+8=14$ ではなく $\sqrt{36+64}=10$。
・$V(X-Y)$ を $V(X)-V(Y)$ とするのは典型的な誤り。
・同じ変数を2回足した $X+X=2X$ の分散は $4V(X)$ で、独立な2変数の和 $X_1+X_2$ の分散 $2V(X)$ とは違います。
・幾何分布は「成功までの試行回数」(平均 $1/p$)か「失敗の回数」(平均 $(1-p)/p$)かで定義が異なります。
コツ 和や差の問題では、まず「平均」「分散」を別々に計算し、最後に標準偏差が必要なら平方根をとる、という順番を守るとミスが減ります。

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