ベイズの定理(統計検定2級 4.5)

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第4章 確率の解説記事

ベイズの定理は、「原因→結果」の向きで分かっている確率から、「結果→原因」の向きの確率を求めるための道具です。検査で陽性だった人が本当に病気である確率や、不良品がどの工場で作られたかの確率を求める問題で毎回のように登場します。

公式
原因 $B_1,\dots,B_k$ が互いに排反で、どれか1つが必ず起こるとき$$P(B_i\mid A)=\frac{P(B_i)\,P(A\mid B_i)}{\sum_{j=1}^{k}P(B_j)\,P(A\mid B_j)}$$分母は全確率の公式による $P(A)$。$P(B_i)$ を事前確率、$P(B_i\mid A)$ を事後確率と呼ぶ。
なぜこの形か 分子は乗法定理で $P(B_i\cap A)$、分母は $A$ が起こる経路をすべて足した $P(A)$ です。つまり「$A$ が起きた経路全体のうち、原因 $B_i$ を通ってきた経路の割合」を計算しているだけです。

手順

ステップやること
1原因ごとに 事前確率 × その原因のもとで結果が起きる確率 を計算
2それらを全部足して結果の確率 $P(A)$ を得る
3知りたい原因の値を $P(A)$ で割る

例1:検査の陽性的中率

有病率1%、病気の人が陽性になる確率(感度)90%、病気でない人が陽性になる確率(偽陽性率)5% とします。

$$P(\text{陽性})=0.01\times0.90+0.99\times0.05=0.009+0.0495=0.0585$$$$P(\text{病気}\mid\text{陽性})=\frac{0.009}{0.0585}\approx0.154$$

陽性でも本当に病気なのは約15%にすぎません。10,000人で考えると、病気100人のうち陽性90人、健康な9,900人のうち陽性495人。陽性585人中の90人なので $90/585\approx0.154$ です。有病率が低いと、偽陽性の人数が真の陽性を上回ってしまいます。

例2:3つの原因

工場A・B・Cの生産比が50%・30%・20%、不良率が1%・2%・4%のとき、不良品が見つかったとします。

工場事前確率不良率積事後確率
A0.50.010.005$5/19\approx0.263$
B0.30.020.006$6/19\approx0.316$
C0.20.040.008$8/19\approx0.421$
計10.0191

生産量が最も少ないCが、不良率の高さのせいで最も疑わしい工場になります。事後確率の比は「積」の列の比 $5:6:8$ に等しいので、最後の割り算は比を使うと楽です。

ひっかけ $P(\text{陽性}\mid\text{病気})$(感度)と $P(\text{病気}\mid\text{陽性})$(陽性的中率)は別物です。問題文が「陽性だった人のうち」なのか「病気の人のうち」なのかを必ず確認しましょう。また分母の $P(A)$ で、原因のどれか1つを足し忘れるミスが多発します。
コツ 表(原因・事前確率・条件付き確率・積)を作るか、10,000人などの具体的な人数に置き換えると、計算ミスが激減します。事後確率の合計が1になることで検算もできます。

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