誤差とバイアス — 何がデータを歪めるか(統計検定2級 3.3)
このページはプロモーション(広告)を含みます。
第3章 データの収集の解説記事
調査の結果が真の値からずれる原因は、大きく2つに分かれます。偶然による「ばらつき」と、方向性をもった「偏り」です。前者は標本を増やせば小さくなりますが、後者は増やしても消えません。どちらのずれかを見分けることが、調査結果を正しく読む第一歩です。
誤差の分類
- 標本誤差:全数ではなく一部だけを調べることで生じる偶然のずれ。無作為抽出なら大きさを評価でき、$n$ を増やせば小さくなる。全数調査では 0。
- 非標本誤差:それ以外のすべて。名簿の不備(カバレッジ誤差)、無回答、回答の誤り、集計ミスなど。全数調査でも生じる。
なぜバイアスは減らないのか
偏った方法で選んだ標本は、何人集めても同じ方向にずれた集団の平均に近づいていくだけです。$n$ を増やすと分散は小さくなりますが、そのぶん「間違った値の周りに精密に集まる」ことになります。
偏った方法で選んだ標本は、何人集めても同じ方向にずれた集団の平均に近づいていくだけです。$n$ を増やすと分散は小さくなりますが、そのぶん「間違った値の周りに精密に集まる」ことになります。
代表的なバイアス
| 名称 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 選択バイアス | 標本の選ばれ方が偏る | 固定電話のみの調査で若年層が少ない |
| 自己選択バイアス | 回答者が自分で参加を決める | ウェブの任意アンケート、番組の視聴者投票 |
| 無回答バイアス | 回答しない人の特性が回答者と違う | 多忙な人ほど回答しない |
| 回答(測定)バイアス | 質問の仕方や測り方で答えが歪む | 誘導的な質問文、社会的に望ましい回答 |
| 生存者バイアス | 残ったものだけを見る | 現存する企業だけで成功要因を分析 |
| 交絡 | 第3の要因が比較を歪める | 観察研究での群間比較(「実験研究と観察研究」を参照) |
数値例:標本を増やしても消えないずれ
ある調査方法のバイアスが $2$、標準誤差が $3$ だとします。MSE は $3^2+2^2=13$。標本を4倍にすると標準誤差は $1.5$ に半減し、MSE は $1.5^2+2^2=6.25$、平方根をとると $2.5$。さらに標本をいくら増やしても、ずれの大きさは $2$ より小さくなりません。
ひっかけ
- 「回答数が10万件もあるので信頼できる」は誤り。自己選択による偏りは件数では解決しない。
- 「全数調査なら誤差はない」も誤り。標本誤差は 0 でも非標本誤差は残る。
- 無回答が多いとき、回答者だけで集計すると偏る。回答率の高さそのものより、無回答者が回答者と違う特性をもつかどうかが問題。
- 層化抽出・集落抽出の精度の違いは標本誤差の大きさの話で、バイアスの有無の話ではない(「標本抽出法」を参照)。
得点のコツ
選択肢の記述を「$n$ を増やせば減るか」で仕分ける。減るなら標本誤差、減らないならバイアス(非標本誤差)。バイアスの種類を問われたら、「誰が抜け落ちたか(選択)」「誰が自分で入ったか(自己選択)」「答えが歪んだか(回答)」の順に考える。
選択肢の記述を「$n$ を増やせば減るか」で仕分ける。減るなら標本誤差、減らないならバイアス(非標本誤差)。バイアスの種類を問われたら、「誰が抜け落ちたか(選択)」「誰が自分で入ったか(自己選択)」「答えが歪んだか(回答)」の順に考える。
統計検定2級 合格ナビ:統計検定2級の問題集アプリ。本番と同じ5択・数値表と電卓で解くオリジナル問題173問と、35問90分の模擬試験。解説記事・公式集・数値表と第1・2章の問題は登録なしで無料。全問は1,480円の買い切り。
アプリを無料で開く有料版と無料版の違い