母集団と標本 — 推測統計の出発点(統計検定2級 3.1)
このページはプロモーション(広告)を含みます。
第3章 データの収集の解説記事
知りたいのは全体(母集団)の性質でも、実際に調べられるのは一部(標本)だけ、というのが推測統計の基本的な状況です。標本から計算した値がどれくらい母集団の値に近いと言えるかを考えるのが、以降の推定・検定のすべての土台になります。
用語と基本の式
- 母集団:調査対象の全体。その特性値(母平均 $\mu$、母比率 $p$ など)が母数。
- 標本:母集団から取り出した一部。標本から計算する値($\bar X$、$\hat p$ など)が統計量。
- 全数調査(国勢調査など)と標本調査。
なぜ $\sqrt n$ なのか
独立な $n$ 個の平均の分散は $\sigma^2/n$ です。標準偏差はその平方根なので、誤差は $n$ ではなく $\sqrt n$ に反比例して小さくなります。一方、母集団の大きさ $N$ は、$n$ に比べて十分大きければ修正項がほぼ1になり、精度にほとんど影響しません。
独立な $n$ 個の平均の分散は $\sigma^2/n$ です。標準偏差はその平方根なので、誤差は $n$ ではなく $\sqrt n$ に反比例して小さくなります。一方、母集団の大きさ $N$ は、$n$ に比べて十分大きければ修正項がほぼ1になり、精度にほとんど影響しません。
母数と統計量の対応
| 母集団(母数・固定された値) | 標本(統計量・確率変数) |
|---|---|
| 母平均 $\mu$ | 標本平均 $\bar X$ |
| 母分散 $\sigma^2$ | 不偏分散 $s^2$ |
| 母比率 $p$ | 標本比率 $\hat p$ |
| 母相関係数 $\rho$ | 標本相関係数 $r$ |
数値例:標本サイズと精度
- $\sigma=10$ のとき、$n=100$ で $SE=1$、$n=400$ で $SE=0.5$。誤差を半分にするには標本を4倍にする必要がある。
- 支持率が50%前後の世論調査で $n=1000$ なら $SE=\sqrt{0.25/1000}\approx0.016$、95%の誤差幅は $1.96\times0.016\approx0.031$、つまり約 $\pm3$ ポイント。
- $N=10000$ から $n=2000$ を取るときの修正項は $\sqrt{8000/9999}\approx0.89$。標本が母集団の2割を占めても、誤差は約1割小さくなるだけ。
ひっかけ
- 「母集団が大きいほど、同じ精度に大きな標本が必要」は、$N$ が $n$ より十分大きい限りほぼ誤り。精度を決めるのは主に $n$。
- 「標本を2倍にすれば誤差は半分」も誤り。$1/\sqrt2\approx0.71$ 倍にしかならない。
- 標本を増やして減るのは標本誤差だけ。偏った抽出によるバイアスは $n$ を増やしても減らない(「誤差とバイアス」を参照)。
- 母数は定数、統計量は標本ごとに変わる確率変数。「母平均が95%の確率で区間に入る」という言い方は誤り。
得点のコツ
「対象の母集団は何か」を問う問題では、調査結果を当てはめたい集団(例:全国の有権者)と、実際に抽出できた名簿の集団(例:電話帳に載っている世帯)がずれていないかを見る。このずれがカバレッジ誤差で、非標本誤差の一種。
「対象の母集団は何か」を問う問題では、調査結果を当てはめたい集団(例:全国の有権者)と、実際に抽出できた名簿の集団(例:電話帳に載っている世帯)がずれていないかを見る。このずれがカバレッジ誤差で、非標本誤差の一種。
統計検定2級 合格ナビ:統計検定2級の問題集アプリ。本番と同じ5択・数値表と電卓で解くオリジナル問題173問と、35問90分の模擬試験。解説記事・公式集・数値表と第1・2章の問題は登録なしで無料。全問は1,480円の買い切り。
アプリを無料で開く有料版と無料版の違い