散布図 — まず目で見る(統計検定2級 2.1)
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第2章 2変数データの記述の解説記事
2つの量的変数の関係を調べるとき、最初にやるべきことは数値を計算することではなく、点を打って眺めることです。散布図は、相関係数や回帰直線を「使ってよいデータかどうか」を判断するための入口です。
散布図の読み方
各個体 $i$ を点 $(x_i,\ y_i)$ として平面に打つ。見るべき点は次の4つ。
各個体 $i$ を点 $(x_i,\ y_i)$ として平面に打つ。見るべき点は次の4つ。
- 向き:右上がり(正の相関)か右下がり(負の相関)か
- 強さ:点が直線のまわりに細く集まっているか、広く散らばっているか
- 形:直線的か、曲線的か
- 例外:外れ値、グループの混在(層)
なぜ最初に見るのか
相関係数は「直線的な関係の強さ」だけを1つの数に要約した指標です。U字型の関係や、1点の外れ値に引きずられた関係でも、数値だけ見ると区別がつきません。形を確かめてから数値に進むのが正しい順序です。
相関係数は「直線的な関係の強さ」だけを1つの数に要約した指標です。U字型の関係や、1点の外れ値に引きずられた関係でも、数値だけ見ると区別がつきません。形を確かめてから数値に進むのが正しい順序です。
散布図のパターンと相関係数
| 見た目 | 相関係数 $r$ | 注意点 |
|---|---|---|
| 右上がりの細い帯 | 1 に近い正の値 | そのまま解釈してよい |
| 右下がりの細い帯 | −1 に近い負の値 | そのまま解釈してよい |
| 円形にばらばら | 0 に近い | 直線的な関係がない |
| U字・山型 | 0 に近いことがある | 関係が「ない」わけではない |
| 1点だけ大きく離れる | その1点で大きく変わる | 外れ値の扱いを検討 |
| 2つの塊が並ぶ | 塊の配置しだい | 層別すると別の関係が見えることも |
数値例:1点で相関が崩れる
6点 $(1,2),(2,1),(3,4),(4,3),(5,6),(6,5)$ の相関係数は $r\approx 0.83$ で、はっきりした正の相関です(図1)。ここに1点 $(15,\ 1)$ を加えると $r\approx -0.19$ となり、符号まで逆転します(図2)。点が7個しかないとき、1点の影響がどれほど大きいかがわかります。
範囲の切断と層の混在
入学試験の合格者だけで「試験の点数」と「入学後の成績」の散布図を描くと、点数の低い人がデータから除かれているため、相関は全体で見るより弱く出ます(切断効果)。逆に、性質の異なる2つのグループを混ぜると、各グループ内には相関がないのに、全体では強い相関が現れることもあります。散布図で点の塊が分かれていないかを見るのはこのためです。
ひっかけ
- 「$r$ が 0 に近いので2変数は無関係」は誤り。曲線的な関係は $r$ に出にくい。
- 「$r$ が大きいので一方が他方の原因」は誤り。相関と因果は別の話(「実験研究と観察研究」を参照)。
- 選抜された集団(合格者、生存者など)での相関は、母集団の相関より弱く出やすい。
得点のコツ
散布図を選ぶ問題では、まず右上がりか右下がりかで符号を決め、次に帯の細さで大きさの順を決める。$r=0.9$ と $r=0.5$ の比較なら「直線からのはみ出し具合」を見る。傾きの急さは $r$ の大きさとは関係ないことも覚えておく。
散布図を選ぶ問題では、まず右上がりか右下がりかで符号を決め、次に帯の細さで大きさの順を決める。$r=0.9$ と $r=0.5$ の比較なら「直線からのはみ出し具合」を見る。傾きの急さは $r$ の大きさとは関係ないことも覚えておく。
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