標準化と変数変換(統計検定2級 1.6)

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第1章 1変数データの記述の解説記事

「数学 72 点と英語 80 点、どちらが良い成績か」は、点数そのものではなく、それぞれの集団の中での位置で比べるべきです。平均と標準偏差で物差しをそろえる操作が標準化です。

公式
1次変換 $y=a+bx$:$\bar{y}=a+b\bar{x}$、$s_y=|b|\,s_x$、$s_y^2=b^2s_x^2$
標準化:$z=\dfrac{x-\bar{x}}{s}$ → 平均 0、標準偏差 1
偏差値:$T=50+10z$ → 平均 50、標準偏差 10
なぜそうなるか
全データに $a$ を足すと分布は丸ごと平行移動するので、平均は $a$ だけずれ、各値と平均の距離(偏差)は変わりません。$b$ 倍すると偏差もすべて $b$ 倍になり、2乗の平均である分散は $b^2$ 倍、標準偏差は $|b|$ 倍です。標準化は $a=-\bar{x}/s,\ b=1/s$ の1次変換にあたります。

数値例:成績の比較

科目得点平均標準偏差z偏差値
数学72608(72−60)/8 = 1.565
英語80705(80−70)/5 = 2.070

集団内の相対的な位置は英語の方が上です。さらに得点分布が正規分布に近ければ、数学で 72 点以上の割合は $P(Z\ge1.5)=0.0668$、つまり上位約 6.7% と読めます。

逆引き:上位 10% に入る数学の点は、$P(Z\ge z)=0.10$ となる $z\approx1.28$ を使い $60+1.28\times8\approx70.2$ 点以上。

単位変換の例

気温(摂氏)の平均 20℃・標準偏差 5℃ を華氏 $F=1.8C+32$ に直すと、平均 $1.8\times20+32=68$°F、標準偏差 $1.8\times5=9$°F(+32 は標準偏差に影響しない)。

統計量$x\to a+bx$ で
平均・中央値・四分位数同じ変換を受ける($a+b\times$元の値、$b\lt0$ なら $Q_1$ と $Q_3$ が入れ替わる)
標準偏差・IQR・範囲$|b|$ 倍($a$ は無関係)
分散$b^2$ 倍
変動係数$a\ne0$ なら変わる。$a=0,\ b\gt0$ なら不変
相関係数(別の変数との)$b\gt0$ なら不変、$b\lt0$ なら符号だけ反転
標準化得点 z$b\gt0$ なら不変(単位に依存しない)
ひっかけ
コツ:「平均は $a$ も $b$ も受ける、ばらつきは $b$ だけ受ける」の一文で大半の問題が解けます。正規分布の確率を求めるときは、まず標準化して $z$ を出し、表から上側確率を引きます。

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