超幾何分布:設定と確率関数(統計検定2級 S3.1)

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補足資料の解説記事

箱の中から戻さずに何個か取り出したとき、その中に「当たり」がいくつ含まれるかの分布が超幾何分布です。製品のロットから一部を抜き取って不良品を数える抜取検査は、まさにこの状況です。

確率関数
全体 $N$ 個のうち当たりが $M$ 個。$n$ 個を非復元で取り出したときの当たりの個数 $X$ について$$P(X=x)=\frac{{}_M\mathrm{C}_x\ {}_{N-M}\mathrm{C}_{n-x}}{{}_N\mathrm{C}_n}$$$$E[X]=n\frac MN,\qquad V(X)=n\frac MN\left(1-\frac MN\right)\frac{N-n}{N-1}$$
なぜこの形か $n$ 個の取り出し方は全部で ${}_N\mathrm{C}_n$ 通りで、どれも同様に確からしいです。そのうち「当たり $M$ 個から $x$ 個」かつ「はずれ $N-M$ 個から $n-x$ 個」を選ぶ方法は ${}_M\mathrm{C}_x\times{}_{N-M}\mathrm{C}_{n-x}$ 通り。その割合が確率です。分散の最後の因子 $\frac{N-n}{N-1}$ は有限母集団修正で、戻さないことで取り出すたびに箱の中身が偏りを打ち消す方向に変わり、ばらつきが二項分布より小さくなることを表します。

二項分布との比較

超幾何分布二項分布
抽出非復元(戻さない)復元(戻す)/独立試行
各回の当たり確率前の結果で変わる常に $p$
期待値$nM/N$$np$($p=M/N$ なら同じ)
分散$np(1-p)\cdot\frac{N-n}{N-1}$$np(1-p)$

$N$ が $n$ に比べて十分大きいと $\frac{N-n}{N-1}\approx1$ となり、超幾何分布は二項分布 $B(n,\,M/N)$ でよく近似できます。

数値例

不良品3個を含む10個から4個を取り出す($N=10,\ M=3,\ n=4$)。${}_{10}\mathrm{C}_4=210$。

$x$0123
組合せ$1\times35$$3\times35$$3\times21$$1\times7$
$P(X=x)$$\frac{35}{210}=\frac16$$\frac{105}{210}=0.5$$\frac{63}{210}=0.3$$\frac7{210}\approx0.033$
ひっかけ 分散の修正因子は $\frac{N-n}{N-1}$ で、$\frac{N-n}{N}$ や $\frac{n}{N}$ ではありません。期待値は二項分布と同じなので、「期待値も小さくなる」という選択肢は誤りです。また、非復元抽出なのに二項分布の確率関数を使うと、$N$ が小さいときは値が大きくずれます。
コツ 確率関数の分子の2つの組合せは、上の数($M$ と $N-M$)の和が $N$、下の数($x$ と $n-x$)の和が $n$ になっているかで検算できます。「少なくとも1個」は $x=0$ の場合を引くのが最速です。

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