統計数値表の使い方(統計検定2級)

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本試験では、分布の値は問題文に書かれず、画面の数値表を自分で引きます。アプリにも同じ4種類の表を内蔵しています。表ごとに「何が行で何が列か」「表の中の数字は確率なのか境界値なのか」を押さえると、引き間違いはほぼなくなります。

表行・列表の中身主な使い道
標準正規分布行=$z$ の小数第1位まで、列=小数第2位上側確率 $Q(z)=P(Z\ge z)$正規分布の確率、$Z$ 検定の p 値、逆引き
t分布行=自由度、列=上側確率 $\alpha$パーセント点 $t_{\alpha}(\nu)$$\sigma$ 未知の平均の推定・検定、回帰係数
χ²分布行=自由度、列=上側確率 $\alpha$(0.995〜0.005)パーセント点 $\chi^2_{\alpha}(\nu)$分散の推定・検定、適合度・独立性の検定
F分布(5%・2.5%・1%)列=分子の自由度 $\nu_1$、行=分母の自由度 $\nu_2$上側パーセント点 $F_{\alpha}(\nu_1,\nu_2)$等分散の検定、分散分析、回帰の F 検定
2種類の表 標準正規分布の表だけは「$z$ を入れると確率が出る」表です。t・χ²・F の表は逆に「確率 $\alpha$ を決めると境界値が出る」表です。何を探しているのか(確率か、境界値か)を先に言葉にしてから表を開きましょう。

1. 標準正規分布の表(上側確率 $Q(z)$)

$z=1.23$ なら、行「1.2」と列「.03」が交わるところの値 0.1093 が $P(Z\ge1.23)$ です。表にあるのは正の $z$ の上側確率だけなので、それ以外は対称性と「全体が1」を使って組み立てます。

求めたいもの変形例(表の値)
上側 $P(Z\ge a)$そのまま $Q(a)$$P(Z\ge1.23)=0.1093$
下側 $P(Z\le a)$($a\gt0$)$1-Q(a)$$P(Z\le1.23)=1-0.1093=0.8907$
負の $z$ の下側 $P(Z\le -a)$対称性より $Q(a)$$P(Z\le-0.84)=Q(0.84)=0.2005$
負の $z$ の上側 $P(Z\ge -a)$$1-Q(a)$$P(Z\ge-0.84)=1-0.2005=0.7995$
区間 $P(-a\le Z\le b)$$1-Q(a)-Q(b)$$P(-1\le Z\le2)=1-0.1587-0.0228=0.8185$
区間 $P(a\le Z\le b)$($0\lt a\lt b$)$Q(a)-Q(b)$$P(1\le Z\le2)=0.1587-0.0228=0.1359$
両側 $P(|Z|\ge a)$$2Q(a)$$P(|Z|\ge1.96)=2\times0.0250=0.05$

場面1:正規分布の確率。得点 $X\sim N(50,10^2)$ で $P(X\ge65)$ を求めるなら、$z=(65-50)/10=1.50$ に標準化し、行「1.5」列「.00」で $Q(1.50)=0.0668$。約6.7%です。

場面2:両側検定の p 値。$Z$ 検定で $z=2.14$ が出たら、行「2.1」列「.04」で $Q(2.14)=0.0162$。両側検定の p 値はその2倍の $0.0324$ で、有意水準5%なら棄却、1%なら棄却しません。片側検定(対立仮説の向きが観測と同じ)なら p 値は $0.0162$ のままです。

場面3:逆引き(上位◯%の境界)。表の中から目的の確率にいちばん近い値を探し、その行と列から $z$ を読みます。上位10%なら 0.1000 に近いのは $Q(1.28)=0.1003$ なので $z\approx1.28$。先ほどの $N(50,10^2)$ なら境界は $50+10\times1.28=62.8$ 点です。

よく使う境界表での確認用途
$z_{0.05}=1.645$$Q(1.64)=0.0505$、$Q(1.65)=0.0495$ の中間片側5%、両側10%、90%信頼区間
$z_{0.025}=1.96$$Q(1.96)=0.0250$両側5%、95%信頼区間
$z_{0.01}=2.326$$Q(2.33)=0.0099$片側1%、98%信頼区間
$z_{0.005}=2.576$$Q(2.58)=0.0049$両側1%、99%信頼区間
ひっかけ 表の値は「0から $z$ まで」の確率ではなく「$z$ より上」の確率です。$P(0\le Z\le z)$ が必要なら $0.5-Q(z)$ と直します。また、$z$ は小数第2位で四捨五入してから引くのが基本です(例:$z=1.234\to1.23$)。

2. t分布の表(上側 $\alpha$ 点)

行で自由度を、列で上側確率を選ぶと境界値が出ます。両側で有意水準 $\alpha$(または信頼係数 $1-\alpha$)なら、列は $\alpha/2$ を引きます。

場面自由度(行)列値
$n=9$ の母平均の95%信頼区間$n-1=8$0.025$t_{0.025}(8)=2.306$
$n=10$ の母平均の95%信頼区間90.025$t_{0.025}(9)=2.262$
$n=16$ の片側5%検定150.05$t_{0.05}(15)=1.753$
$n=16$ の両側5%検定150.025$t_{0.025}(15)=2.131$
$n=16$ の両側1%検定(99%信頼区間)150.005$t_{0.005}(15)=2.947$
2標本 t 検定 $n_1=12,\ n_2=10$、両側5%$12+10-2=20$0.025$t_{0.025}(20)=2.086$
単回帰 $n=20$ の傾きの検定、両側5%$20-2=18$0.025$t_{0.025}(18)=2.101$

数値例(信頼区間)。$n=9$、$\bar{x}=20.0$、$u=3.0$ なら $u/\sqrt{n}=1.0$ で、95%信頼区間は $20.0\pm2.306\times1.0$、すなわち $[17.694,\ 22.306]$。

数値例(片側と両側で結論が変わる)。$n=16$ で $t=1.90$ が出たとき、片側5%の境界 1.753 は超えるので棄却、両側5%の境界 2.131 は超えないので棄却できません。問題文の対立仮説が「$\ne$」か「$\gt$」かを必ず確認しましょう。

p 値の範囲を読む。自由度15で $t=2.40$ なら、2.131(0.025の列)と 2.602(0.01の列)の間にあるので、片側 p 値は 0.01 と 0.025 の間、両側 p 値は 0.02 と 0.05 の間です。t 表からは p 値を「範囲」で答えます。

表にない自由度 自由度は30までは1刻み、その先は40・60・120・∞だけです。たとえば自由度35なら、30(2.042)と40(2.021)の間にあると考えます。選択肢を選ぶにはこれで十分なことがほとんどで、必要なら直線補間で約2.03とします。迷ったら小さい方の自由度(境界値が大きく、棄却しにくい安全側)を使います。自由度が非常に大きければ最下行 ∞ を使い、これは標準正規分布の値(1.645、1.960、2.326、2.576)と一致します。

3. χ²分布の表(上側 $\alpha$ 点)

χ²分布は0以上の値しかとらず、左右対称ではありません。そのため、下側の点も表に並んでいます。列 0.995〜0.9 が小さい側(下側)の点、列 0.1〜0.005 が大きい側(上側)の点です。下側確率 $\alpha$ の点は、列「$1-\alpha$」を引きます(下側2.5%点=上側97.5%点=列 0.975)。

場面自由度(行)列値
$n=10$ の母分散の95%信頼区間90.975 と 0.025$\chi^2_{0.975}(9)=2.700$、$\chi^2_{0.025}(9)=19.023$
$n=10$ の分散の検定($H_1:\sigma^2\gt\sigma_0^2$、5%)90.05$\chi^2_{0.05}(9)=16.919$ 以上で棄却
$n=10$ の分散の検定($H_1:\sigma^2\lt\sigma_0^2$、5%)90.95$\chi^2_{0.95}(9)=3.325$ 以下で棄却
サイコロの目の適合度検定(6カテゴリー、5%)$6-1=5$0.05$\chi^2_{0.05}(5)=11.07$
2×3 分割表の独立性の検定(5%)$(2-1)(3-1)=2$0.05$\chi^2_{0.05}(2)=5.991$
3×4 分割表の独立性の検定(5%)$(3-1)(4-1)=6$0.05$\chi^2_{0.05}(6)=12.592$

数値例(母分散の信頼区間)。$n=10$、不偏分散 $u^2=4.0$ なら $(n-1)u^2=36$。95%信頼区間は $[36/19.023,\ 36/2.700]=[1.892,\ 13.33]$ です。大きい方の点で割ると下限、小さい方の点で割ると上限になることに注意しましょう。

ひっかけ 適合度検定・独立性の検定は、ずれが大きいほど χ² が大きくなるので、ふつうは上側だけを見る片側検定です。有意水準5%なら列 0.05 を引きます(0.025 ではありません)。一方、分散の両側検定や信頼区間では上側と下側の両方の点を使います。
表にない自由度・確認に便利な関係 自由度30を超えると40・50・…・100の10刻みになります。自由度35なら30と40の行の間にあると考えます。また、$\chi^2_{0.05}(1)=3.841=1.96^2$、$\chi^2_{0.01}(1)=6.635\approx2.576^2$ のように、自由度1の χ² は $Z^2$ の分布なので、記憶の確認に使えます。

4. F分布の表(上側5%・2.5%・1%点)

F分布の表は有意水準ごとに3枚あり、列が分子の自由度 $\nu_1$、行が分母の自由度 $\nu_2$ です。まず「何%の表か」を選び、次に(分子, 分母)の順を確かめてから交点を読みます。

場面統計量$(\nu_1,\nu_2)$表・値
一元配置分散分析:3群×各5人($N=15$)、5%$\dfrac{S_A/(a-1)}{S_E/(N-a)}$$(2,\,12)$5%表:$F_{0.05}(2,12)=3.89$
同じ分散分析で1%同上$(2,\,12)$1%表:$F_{0.01}(2,12)=6.93$
単回帰 $n=20$ の回帰の F 検定、5%$\dfrac{S_R/1}{S_E/(n-2)}$$(1,\,18)$5%表:$F_{0.05}(1,18)=4.41$
等分散の検定 $n_1=11,\ n_2=16$、両側5%$u_1^2/u_2^2$$(10,\,15)$2.5%表:$F_{0.025}(10,15)=3.06$

両側検定には 2.5% の表。等分散の検定を有意水準5%の両側で行うときは、上側2.5%点と下側2.5%点を使います。上側は2.5%表からそのまま $F_{0.025}(10,15)=3.06$ です。

F の下側の点(逆数の性質) $$F_{1-\alpha}(\nu_1,\nu_2)=\frac{1}{F_{\alpha}(\nu_2,\nu_1)}$$ 下側の点は、自由度を入れ替えた上側の点の逆数です。例:下側2.5%点 $F_{0.975}(10,15)=1/F_{0.025}(15,10)=1/3.52\approx0.284$。2.5%表の列15・行10の値 3.52 を使います。
なぜ逆数になるのか $F=\dfrac{V_1/\nu_1}{V_2/\nu_2}$ が $F(\nu_1,\nu_2)$ に従えば、その逆数 $1/F$ は分子と分母を入れ替えたものなので $F(\nu_2,\nu_1)$ に従います。「$F$ が小さい」ことは「$1/F$ が大きい」ことと同じなので、下側の確率は入れ替えた分布の上側の確率として読めます。

下側の点を使わずに済ませるコツ。等分散の両側検定では、不偏分散の大きい方を分子にして $F\ge1$ にしておけば、上側2.5%点と比べるだけで判定できます(自由度も分子側の群から先に書く)。

表にない自由度・t との関係 列は 1〜10、12、15、20、24、30、40、60、120、∞、行は 1〜30、40、60、120、∞ です。分子の自由度が11なら列10と12の間、分母の自由度が35なら行30と40の間にあると考えます。自由度が大きくなるほど境界値は小さくなるので、迷ったら小さい方の自由度の値(安全側)で判定します。また $F_{\alpha}(1,\nu)=\{t_{\alpha/2}(\nu)\}^2$ で、たとえば $2.228^2\approx4.96=F_{0.05}(1,10)$、$2.101^2\approx4.41=F_{0.05}(1,18)$ です。
ひっかけ (1) 分子と分母の自由度の取り違え:$F_{0.05}(2,12)=3.89$ に対し $F_{0.05}(12,2)=19.41$ と、まったく違う値です。(2) 分散分析の分母の自由度は「群の数 − 1」ではなく「全データ数 − 群の数」。(3) 分散分析や回帰の F 検定は上側だけを見る検定なので、5%なら5%表をそのまま使います(2.5%表ではありません)。

5. どの表を開くか:早見表

状況開く表自由度列の選び方
正規分布の確率・$\sigma$ 既知の平均・比率標準正規なし確率を読む(両側は2倍)
$\sigma$ 未知の平均(1標本・対応あり)t$n-1$両側は $\alpha/2$
2標本の平均の差(等分散)t$n_1+n_2-2$両側は $\alpha/2$
回帰係数の検定・区間t$n-p-1$両側は $\alpha/2$
母分散の区間・検定χ²$n-1$両側は $\alpha/2$ と $1-\alpha/2$
適合度・独立性χ²$k-1$、$(r-1)(c-1)$上側 $\alpha$ のみ
等分散の検定F$(n_1-1,\,n_2-1)$両側5%なら2.5%表
分散分析・回帰の F 検定F$(a-1,\,N-a)$、$(p,\,n-p-1)$上側 $\alpha$ の表

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